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【 ハスラー9 】

掲載日 2019-06-20

【ハスラー1】

「△×さん ハスラーだね!!」

なんて言われると誉め言葉と日本人は思っちゃう。
(えッ!カッコ良かった?オレ?!)


ハスラーといえば、日本ではトム・クルーズやポール・ニューマンのイメージと相まって“2枚目”の役どころだ。
鼻も高くて足も長い。

かくいう私も容姿は抜群に良いのだが、私はギャンブルはしないので“ハスラー”とは呼ばれない、ずっと“ラッキー”である。
千葉の某WebではRuckyだって。まぁ、どうでも良い。




話を戻して…
アメリカでは、ハスラーとは日本と違って勝負師のことではない。
ハスラーとは、カモを探して見つけたカモを相手に日銭を搾り取る一匹狼?いや、一匹ハイエナだろう。フロリダやルイジアナだと一匹アリゲーターだ。
ハイエナは行きつけの店を3、4軒持っている。そこで旅行中に時間を持て余しているような小金持ちを探すわけだ。それもできるだけ下手くそが良い。


〜ギャンブル必勝法〜
・自分より弱いやつとやる。
・勝つまでやる。
・そして勝ったらやめる。

ン…ナニ…??負けたら…??
ハイエナは負けたら逃げる。金など持っていないのでネ。
そうさ、実際のハスラーはカッコ悪いのだヨ。

“腕っききのハスラー”とは球の上手なプレイヤーではない。あまり上手に見えなくても相手よりほんの少し偶然ツキがあり、いかにも勝ったように見せるプレイヤーのこと。
一方的に勝つとすぐやめられちゃうし、ヘタするとお金ももらえない。





【ハスラー2】

これは言わずと知れたトム・クルーズの出世作だ。
1986年にリリースされ、日本でも大ヒット。
空前のポケットビリヤードブームを巻き起こした。


私もポケット5台のお店をやろうかな、と思い…

「あの〜、ビリヤードのテーブル欲しいんですが…」
「あ〜、今はないね。来月入ってくるんで…値段は1台80万、ハウスキュー6本とボールと全部込みですよ。」
「あ、そうですか。じゃ後程またTELします。」

ふんふん、5台だと400万か…。じゃ家賃と敷金と内装で700万か、750万でいけるな…

2週間後、また電話しました。
「あの〜、5台お願いしたいんです…」
「あ〜、だと600万だね。」
「エッ、先日は1台80万て言われましたが…」
「あの便は全部売れて、これは次の分になります。早く手付けうたないと、すぐ無くなりますよ。」
「エ〜ッ!!…ちょっと少し考えます、スミマセン。」

また少しして電話しました。内心ではもう買えないな、とは思っていた。お店は諦めよう…。


「あの〜、今5台買ったらいくらですか?」
「あぁ、△×さんね。今は3ヶ月待ちで1台160でいいですよ。その代わり、ボールも何もつかない。テーブルだけね。ラシャ張りは誰かにしてもらってください…。」


これ、台湾のテーブルの話です。もちろん実話。
ブームの時はこうでした。ホント、すごかったネ〜。

ブランジックっちゅぅ台は最初から180程で手が届きまへんでしたわ〜。
今思うと専務さんはハスラーやったんやね。
ウチ、関西は苦手になりました、スンマヘン。



1987年、翌年1台30万で5台のお店ができました。
最初の自分のお店、ラシャ貼りも床も壁や内装も全部自分でやった。
2月の寒い時期にコンクリートの床の上で1週間寝泊まりした。
そして開業資金400万が3ヶ月で返せました!
頑張ったな〜!若かったな〜!





【ハスラー3】

実はこの映画にはかなり前のめりになったのよ!!!
何故って??そりゃぁ自分の持つ「Gus」を映画に出せるチャンスだったからね、ホントの話だ。
確か1998年頃か…皆が2匹目のドジョウならぬ3作目の「ハスラー」を待望していて、そんな集まりがアメリカであったので同席したのだ。
私は自分のキューを持ち出すことに納得してよくストーリーも理解できぬままに別れた。

なんの音沙汰もなく時が過ぎ、翌年別のイベントの席で耳にしたのが、新しいポケットビリヤードの映画の話である。フン、フン…。
映画に登場するキューはSouth Westで、映画の名前は『プールホールジャンキー』。
はぁ?!ナニソレ??そんなの当たる訳ネェージャンキー?!
当然映画は日本でも、私の住む仙台でも公開されましたよ。でも私のお店のお客さんでも観てきたのはたった2名…映画館はガラガラだったって…。

それみたことか、ジョージの後はGusだろ〜。どうみたって…SWはない!
そして最悪は「ジャンキー」って…?!イメージが悪すぎる!!
若い女性や子供が見られないものを作って売れるわけない。
せっかく半分出来上がってきたスポーツビリヤードのイメージが…

絶対にトム・クルーズに出演してほしかったし、違ったストーリーで世界選手権みたいなものをしてほしかった。カクテル飲みながら戦闘機の中で、でも良かったのよ。

ハスラー2でのポール・ニューマンのラストシーン
“I'm Back!!”
の続編以外は頭の中にはなかったネ。
ジャンキーはない、絶対に……ナイ!!!







【ハスラー4】

1960年頃、有名な勝負師は何人もいた。
ここではその中の1人、New YorkのAbe Rosenについて書いてみようと思う。

彼はユダヤ系のアメリカ人であるが、ビリヤードは全部強かった。
ハスラーではなかったが勝負師だったのだ。
3CussionでもWillie Hoppe(ウィリーハッピと読む。ホッペではないよ。)などとリーグ戦に名前を出しているし、14-1ではハイランを300以上出している。
まぁ完全に職業プレイヤーだったのさ。プレイキューはもちろんBalabushka。

Abeは勝負を挑まれると絶対に逃げなかったそうである。
ほとんど負けたことはない、と私の友人のVictor Steinが教えてくれた。
Abeは勝負の時は必ず護身の銃を持ち歩いていたって。足首にホルスターをつけてね。

勝つことは誰でもできる。
キチンと金を受け取り、帰りも家まで無事にたどり着くこと、その大変さをAbeは身にしみて知っていたのであろう。
私が生まれた頃のNYは大変なところだったのだ。






【ハスラー5】

ポール・ニューマン演ずるEddie Felson(ニックネームは「Fast Eddie」)と、ジャッキー・グリースン演ずる大男のハスラー「Minnesota Fats」。
彼らが映画ハスラーの中で箱型のケースから取り出したキューは、私の記憶の中ではPalmer。
でもその後キューに少し詳しくなって記憶と合わせると、その箱型ケースから出されたキューはParadiseだったように思う。(映画を1回しか観ていないので間違ったらゴメン!!)
打音がガシャッとしていたのでおそらくそうかな。
この映画が作られた当時はまだブシュカがなかった時代だ。

ジョージが自分のキューを顧客に届ける時、ビリヤード場で待ち合わせしてよく口にした言葉は
「あ〜、あの打音は自分のキューではない。良くないキューは耳にしてすぐに分かる。」
だったそうである。(そんなセリフ、私にはまだ言えません(T_T))

ハスラー2でトム・クルーズが使用したキューは、映画のあらすじでは伝説の“George Balabushka”だったが、現実に使われたのはJoss Cueだった。
このあたりはDan Janesのかけひきが上手かったネ。
名より実をとった、とはこのことだと感心させられた。
このおかげで当時JossCueは高額でたくさん取引されたもんです。
僕も5本くらい買いましたし、2000年代にDanと組んで復刻版をリリースしたこともあった。
実際に私もJossは使ってみたが、私のプレイスタイルには合わなかった。
私では細かいポジションができず、まっすぐストロークすることを求められる。
マイクシーゲルの14-1、150点撞ききりのビデオを見た時に「???」と思ってしまった。自分のスタイルではなくてさっぱり面白くなかったのだ。

あっと…シーゲルはハスラー2に出演しているネ!!
シーゲルの他にはPretty Boy Floyed、奥さんだったEva、SteveとHowardと、あと…もう1人……誰だっけ??





【ハスラー6】

ポール・ニューマンの役の名前はEddie Felson。あだ名はFast Eddie。
この元々のモデルはルイジアナの名プレイヤーEddie Tailerだと私も随分言われた。(1990年頃)
だが本人に会って親しくなって色々教わったが、全然そんな事はありそうにない人。何度も食事に行ったけど、食べるのはすごく遅いし、毎回支払いは自分だった。あ、これは関係ないか。

Eddie Tailerは何度もWillie Mosconiと世界チャンピオンシップを争ったが、ことごとく負けたのだ。一度も勝ってないと思う。昔の奥村×長矢、小林×小森だ。
Eddieはバンクプールがとても上手で、32回連続でバンクショットを沈めたと言っていた。どんなゲームか想像もつかないが、本人のみならずとにかく皆が私にそう言ったので間違いなさそうだ。

バンクショットについてEddieからの教えはたったひとつ。
『スピードをコントロールするな、フルショットしろ。まずこれを覚えろ。』であった。
ひねったり、スピードを変えるからいつまでもバンクショットの基本を覚えられない。バンクはまず中心撞きでしっかり撞くことから始めなさい、だそうである。
彼はもうだいぶ年だったけど、小さい身体なのにショットはパワフルだった!!アリガトネ、エディー。





【ハスラー7】

結論、Fast Eddieにモデルはいなかった。
では相手のMinnesota Fatsのモデルは?Fast Eddieは実在しないけど、私の中ではMinnesota Fatsは実在のプレイヤーだとずっと思っていた。
ジョーボルシスやスティーブミザラクと同じく現実に私の頭の中には入っていた訳である。

80年代半ば頃、アメリカのイベントではFatsが来ている、と館内放送で言っていた。現実に私も紹介されたし握手もした。96年にはFatsが亡くなった、などと業界誌にも書かれた。
でも彼はMinnesota FatsではなくてNY Fatsだったのである。残念ながら一度もミネソタには住んでいない。

ハスラーに出演したWillie Mosconiは、Minnesota Fatsのモデルは断じてNY Fatsではない、と言い切っている。大変な剣幕でね。
ハスラーの映画内でのショットはほとんどが当時の世界チャンピオンWillieが撞いている。手だけの出演は大変な数であるし、実際にプールホールの中で顔も少し出している。DVDを観た時に探してみてください。
でも彼以外では誰も当時のプレイヤーは出演していない。
彼が強く言うのは、実際に映画の中でショットし、セッティングしたのは自分だ、という自負があったのだろう。





【ハスラー8】

1961年のハスラーという映画は戦後のアメリカに何をもたらしたのだろうか?
一番は全米中にポケットビリヤードのテーブルが普及したことだろう。
広大なアメリカの大都市ばかりではなく地方の小さな町までPool Tableが普及したのである。
これが25年程後のハスラー2(Color of money)に繋がり、この映画の大ヒットで空前のポケットビリヤードブームを巻き起こしたわけである。

因みにポール・ニューマンはこのハスラー2でオスカー賞を受賞したことはプールプレイヤーとして知っていて損はない。
このハスラー2の中でもジャッキー・グリースン演じるMinnesota Fatsは、自分の出演シーンを捜したのだが、上手に作れなくて出所がなかった。これについてはポールもジャッキーも大いに口惜しかったという話が残っている。
もし彼の出演場面を作れていたのならば、どんなものになったか少し見てみたい気がしたのは私だけではないよね。
きっとサイドベッドでの勝負だったのかな、一般にはスポット(ハンデ)とか理解できにくいからなぁ〜。絵にならなかったのだろう。






【ハスラー9】

ここまで読んでくれている方にちょっと質問。
ハスラーから始まり、ハスラー2、3、ときているね。
でも6か7あたりで“ロク、ナナ…”となってくれているとここありがたい。ここはキューと読んでほしいの。
今回のひとりごとは実はこの最後の「9」のためだけの前振りだったのよ、ゴメン!!ありゃ、質問じゃなかったね(笑)
さん、ハイ! 『ハスラーキュー!!』





◎ハスラーキューのいいところ◎

1
ショートコンタクトでのプレイができる。短めに持ってパキッ、パチッ…である。
この撞き味は先角がとっても大事。ペーパーファイバーやグライスと呼ばれた素材が良かった。今はもうないなぁ…。

2
グリップは後ろを持って重さを利用してゆっくりストローク。
かと思えば、次は前めを持って弾かしの球を撞いたり…後ろを持ってゆっくりひねって角度のある球をスピンして入れて手球を動かさない。
こんな様々なショットを創れる。これが……さん、ハイ! ハスラーキュー!!!

3
何がKeyかというと、まずタップ。1枚革の13mmのLe Proが良い。
13mmは側面が硬くてちょうちんにならない。膨らまないのだ。知らなかったでしょ!
タップをつける時にバッチリ中心につければあとな問題なし!!
14mmを使うのは全くのドシロート!!ハスラーキューを持つ資格なし。
積層???何言ってるかわかんない...????

4
そしてシャフト!!絶対に良いシャフトでなければダメだ。ここだけは譲れないところ。
ハスラーはこれをじっくり選別してこれでキューを選ぶ。たくさんの中から、あれでもない、これでもない…とずっとやっている。
ショップでこんな事をしていたら、奴は絶対ハスラーか、それともトーシロだ、間違いない!!

5
あ、そうそう、ジョイントも大きなFactorのひとつだ。見逃せない。
まずステンはダメ!論外。それからパイロもNo Good!!
ジョイントの最高の組み合わせはWood to Woodのフラット!!
このあたりはもう球をつかない頭でっかちのメーカーの出る幕はない。
実戦のともなわない理論などはすっこんでろ!!
せいぜい妥協できても木の面が入っているフェノリックのフラットフェイスまでだ。

6
オイ、誰だ?ハスラーキューに糸や革を巻いたのは?
ハスラーキューは別名スニーキーピートと言われる。
コソコソと小ずるい痩せっぽちのピートが使うキューはハウスキューと同じに見えるものが良い。そうしないとカモにありつけないのだよ。
見かけはシ・ン・プ・ル...でも性能はグ・ン・バ・ツだぜぃ!!気が付いた時にはケツの毛まで抜かれちゃうゾ!!(ゴメン)

7
昔、1950年頃に使われたのはブランズウィッグから出されたキューだ。
たくさんの木材を外で干して、外で削っていた訳だ。
写真も残っている。 ひさしの下と、外で作業しているぞ。

この頃のハスラーキューはアパラチアンメープル(赤木)にマホガニーのエンドだったりパドゥークだったりブラジルのブラウンウッドだったり……とにかく後ろが重いのが特徴だ。
重さは20オンス程でバランスポイントはエンドから40〜42cmくらいではないかと思う。
それがだんだんカナディアンメープルが使われるようになり、とんでもなく良いスニーキーピートができるようになったんだ。
メーカーの名前は言えないけど(Dufferin)である。1本十数ドルのハウスキューだよ。
でもその中に“当たり”があるのだ!!ハウスキュー30本の中に1〜2本ある。
シャフトが通っていて、まっすぐのもの。ハウスキューのシャフトってほとんどがバナナなの。それはハズレ、選んじゃダメ!!
アメリカのキューメーカーでハスラーキューを出しているほとんどはおそらくDufferinだろう、Dufferinの改造品である。


カスタム(ハスラーキュー)で有名というか私が好きだったのは今は亡き“Mark Bear”。とっても良い物を時間をかけて作っていた。もちろんDufferinではない、違うのだ!!

90年代後半、彼のハスラーキューをExpoのブースで見つけ、物も撞き味も良くてとっても気に入ったのだ。当たり、ばっかり…!!
彼はまだ若くて30代半ばぐらいだったか…キュー作りが好きだ、と言っていた。
そして2000年頃に彼にフルスプライスのシンプルなものを作ってほしい、とオーダーしたわけである。なぜかブランクだけ100本!彼はとっても喜んでくれたネ。
一度には無理、と言われて、もちろん私も納得。毎年15本程を貰うことにした。70本程手にしたかなぁ…
2005年頃、彼がポックリ亡くなったことを知り絶句!!!なんで?!…泣いたネ。              



さ〜て…今、フロントウェイト全盛のキュー業界で真っ黒のシャフトが良いっていう世の中になっちゃった。私の手に入れたMarkのバットはもう20年近く寝ている。
後ろバランスのハスラーキューの面白さ、愉しさを分かってくれる人は居ないだろうな〜。最高だヨ!!!







合掌